低髄液圧症候群(=脳脊髄液減少症) サマリと所感
- はじめに
- 定義
- 症状
- 発症原因
- 診断
- 治療方法
- 安静療法
- 薬
- ブラッドパッチ
- 所感・私の場合
- 発症原因
- 診断経緯
- 症状
- 病歴
- ブラッドパッチ体験
- 低髄対策法
- 目標
- 用語集
- 参考文献・参考ウェブページ
- 謝辞
- appendix
- pdf
- 更新履歴
低髄液圧症候群(=脳脊髄液減少症)について。
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このウェブページに記載してある事項は一患者である私(ハンドル名kgussan) が自分の体験・本・医師、ウェブページから得た情報をまとめたものです。
前半は低髄の概要のまとめ、後半は私の主観、体験記をまとめています。
飽くまでも、ご参考程度までに留め、実際に治療を受ける際には主治医と良く相談してください。
この病気には初期の頃の呼び名が"低髄液圧症候群" でしたが必ずしも髄液圧は下がらないことから"脳脊髄液減少症"という呼び名が現在は一般的です。そのほか、"篠永病" "低髄圧症候群" などの呼び名があります。
本稿では"低髄"で統一します。
ご感想、間違い・誤字・脱字のご指摘などは
- kgussan 'at' gmail.com
までe メールにてご連絡ください。( 'at' を@ に変換してください。)
低髄とは、外部からの刺激により、脊椎周囲の硬膜を損傷し脳脊髄液がもれ、頭蓋骨の内部で脳を浮かせている髄液が不足した結果、吐き気・頭痛・めまい・動悸不順などをおこす病気。
低髄の症状には、主に以下のようなものがある。
- 抵抗力の低下
- 吐き気
- 筋肉痛
- 腰から下の震え
- 動悸
- 後頭部痛
- めまい
- 耳の張っている感覚
- 急な発熱
- 立ちくらみ
低髄になる原因には、おもに外部からの刺激により脊椎に小さな穴が開くことから。
外傷は小さく、はじめのうちに症状が出ていなくとも、期間をおいて症状が出てくることがある。
他の要因として、腰椎麻酔により脊椎に小さな穴が開いたまま塞がらず低髄になったりすることなどもある。
低髄の診断方法は以下のようなものがある。
- 問診
自覚症状として前述の低髄の症状があるかどうかを確認する。
これだけで低髄と診断する医師もいる。
- MRI
mri での脳の位置を測定し、脳脊髄液の減少による小脳の下降(小脳下垂)、
脳と硬膜の間の隙間を確認する。
年齢により、診断の基準となる程度は異なるが、上記の程度によって確認が行われる。
医師の目視による。定性的な画像確認方法はない。
対象の被写体は主に頚椎(首のまわり)・胸椎や腰椎。
- MRI ミエログラフィ
MRI ミエログラフィにて髄液の漏れを確認する。
医師の目視による。定性的な画像確認方法はない。
対象の被写体は主に頚椎(首のまわり)・胸椎や腰椎。
- RI シンチグラフィ
RI(Radio Isotope) シンチグラフィにて髄液の漏れを確認する。
このテストで結果の画像には正常な人と比べて”もや”がでてくる。
硬膜外腔にRI をいれ、24時間かけてRI の行方を観察・確認する。
注入時にできる穴から髄液が漏れる場合もあるとされるが、
ブラッドパッチを行えばすぐにパッチできるとのこと。
低髄の治療方法について。
水分を多めにとり、臥床安静を心がける。
横になると髄液の漏れが少なくなる。
自然治癒力により、髄液の漏れが塞がることもある。
低髄に効果のある薬は、直接低髄を治療する薬は現在、発見されていない。
対処療法として、症状を和らげる薬には以下のようなものがある。
- リョウケイジュツカントウ
- サンソウニントウ
- ソラナックス 0.4mg
- パリエット 10mg
- ケタス
- チトクロームC
- 頚椎捻挫薬
- 吐き気が副作用に出る可能性があるのがやや不安。
- ケタスに似ているか
-
コエンザイムQ10
- プラセンタ
自分の血液を脊椎周囲の硬膜外腔に入れ、髄液の漏れを血糊でふさぐ治療方法。
高い有効性が示される一方で血液の望まない箇所への癒着による
副作用など、問題も指摘されている。
ここには私の低髄症状などを述べる。
私が低髄になった原因は、交通事故で怪我をしたこと。
私が低髄の診断を受けたのは、以下のような経緯。
事故当初は額を数針縫い頚部捻挫の診断。
いわゆるむち打ちだったが仕事が忙しいため1日休んで職場復帰。
しばらくまったく普通に生活するが徐々に体がおかしくなっていく。
ある日倒れてしばらく原因がわからずドクターショッピングをする。
整形外科、内科、耳鼻科、脳神経外科でようやく低髄の診断を受ける。
低髄の私の症状。
- 倦怠感
- だるくなり、たっていられなくなる。
- 天候に影響し出現する。
- 2 回目の失調時に再発。
- ブラッドパッチ後体調のいいときに消失。
- 抵抗力の低下
- 風邪を引きやすくなった。
- 徐々に体調に気をつけることで対応できるようになった。
- 吐き気
- 疲労時にでやすい。
- 薬で緩和可能。
- 電車、車など乗り物に乗ったときに吐き気が出やすい。
- 半年程度で落ち着く。
- 2 回目の失調時に再発。
- ブラッドパッチ後消失。
- 筋肉痛
以下の箇所の筋肉が緊張しやすい。
筋肉痛になりやすい。
体調が悪いと背中が張ってくる。
一日の終わりなどは足が痙攣してくるときもある。
ブラッドパッチ後、背中が痛い。ブラッドパッチ後体調のいいときに消失。
- 腰から下の震え
- 疲れてくると下肢が震えてくる
- ブラッドパッチ後徐々に消失。
- 動悸
- 動悸が早くなる。胸が苦しくなる。
- 首カラーをしばらくして、首が楽になってからは
余りなくなった。
- 2回目の失調の時に再発。
- ブラッドパッチ後徐々に消失。
- 頭痛
- 後頭部が下に引っ張られる感覚。
- 疲れてくると出てくる。
- ブラッドパッチ後、頭痛はほぼ消失。
- ブラッドパッチ後、天候に影響して頭の重い感覚がある。
- めまい
- 耳の張っている感覚
- 耳抜きをしてもよくならない。
- 2回目の失調の時にも耳が張った。天候に影響した。
- ブラッドパッチ後徐々に消失。
- 急な発熱
- 37度強が常にあった。
- 発症から2ヶ月程度で収まる。
- 2回目の失調の時に再発。微熱が続いた。
- ブラッドパッチ後消失。
- 立ちくらみ
- 強い立ちくらみで立っていられない。
- 発症から2ヶ月程度で収まる。
- 2 回目の失調の時に再発。立ちくらみがでて5分と歩けなかった。
- ブラッドパッチ後徐々に消失。
ブラッドパッチをした感想。
私はブラッドパッチを2 年越しで悩んでいたが、体調悪化のためにブラッドパッチを受けた。
ブラッドパッチには痛み、予期しない作用が起こりうるため、
日常生活が何とかなっている場合は無理して受ける必要はないと思う。
体調が悪くなってどうにもならなくなったら治療はブラッドパッチ以外に有効なものはないため、覚悟と期待をして決断すればいいと思う。
低髄患者に対して病院数、医師数、法律、保険、認知度、研究数、治療手段、厳しい要素が多い。
思うように動けず、生活も制限されるこの病気は精神的にもきついため、
ストレスを避けることが大事なことと思う。
ブラッドパッチをしなければ、と心のどこかでずっと
気に留めつづけることがストレスになりかねないので、
きつくなったら受ければいい、と思っておく程度でよいのではないだろうか。
施術場所
MRI ミエログラフィで漏れの場所が胸椎からと定め、胸椎にブラッドパッチをした。
ブラッドパッチ時の痛み
硬膜外腔への麻酔の注射が痛かったが我慢できないほどでは無い。
血を入れるとき、 徐々に腰から胃の後ろに鈍痛を感じた。
鈍痛が広がり、重くつらくなってきた時点で血の注入をやめた。
症状が軽減するなら安いものと思った程度の痛み。
睡眠・食事・病院など
ブラッドパッチ前日は緊張してよく眠れなかった。
点滴がなれないのと背中の痛みで当日もほとんど眠れなかった。
早朝起床なので朝は眠かった。
夜も早くに消灯だったため、はじめは眠れなかった。
もともと睡眠に対しての問題はなかったが、点滴と背部痛がすこしきつかった。
食欲が落ちるかと思っていたが、問題なく食べられた。
太目の点滴の管を腕に差した。
はじめは痛かった。
慣れれば特に気にならず、いつも注射をしなくてもすむので、とても便利だった。
風呂にもビニールをつけて入れた。
ブラッドパッチの血液もここから無痛で取れる。
ブラッドパッチの影響・効果
ブラッドパッチ後、
めまいがしてしばらく病院内さえ歩けなかった。
ブラッドパッチ後1ヶ月で半日仕事ができる程度の体力が回復した。
ブラッドパッチ後1ヶ月半で週の半分、フルタイムの仕事ができる程度の体力が回復した。
天気によりめまいと頭痛とボーっとしている感覚がある。
アップダウンが激しい。
2日くらいで腰の痛みはなくなった。
背部痛は1 ヶ月半たってもまだ残っている。
ブラッドパッチ後半年で低髄になって落ち着いた状態に戻れた。
しかし、元の状態に戻るはまだ時間がかかりそうだ。
再び風邪のような症状になりがちになったので要注意。
ブラッドパッチから後頭部に支えができたような感覚ができた。
今まで頭が後ろに引っ張られる感覚や吐き気があったのがなくなりそうな感覚がある。
頭が後ろに引っ張られる感覚や吐き気が出てきたときに感覚があった部分がブロックされている感じがしている。
しかし、体調によりふらつきや首の緊張は出ている。
決断力を持ち、休むべきときには休むこと。
- 空元気を持たない。
- 調子を気にしすぎない。
- 調子が悪かったら休む。
- 風邪を引いたとき、無理せずに休みすぐに治す。薬に頼ってはいけない。
以下の目標を2007年 の夏までに達成したい。
# ブラッドパッチ後1年半後。
# 半年で生活レベルを運動以外平気なものに戻し、
# 残りの期間で筋肉を鍛えたい。
まずは今年中に海に一度行きたい。
目的達成のために
- 12時前には就寝し体力を回復させる
- 軽い運動とストレッチを体調のいいときに行う
- 禁煙
- 禁酒
- 無理をしない
目標
- 外出
- 海に行くこと
- プロレス観戦へ行くこと
- 買い物に好きにいけること
- 興奮しても気持ち悪くならないこと(達成)
- 近場の買い物に好きにいけること(達成)
- スポーツ
- サーフィンをすること
- ジムにいけること
- 泳げること
- 持久力がつくこと
- 動いても気持ち悪くならないこと(一日達成)
- 立っていても気持ち悪くならないこと(一日達成)
- 軽い筋トレが出来ること(達成)
- 仕事
- 飛行機が平気であること
- 海外出張にいくこと
- 国内出張すること
- 必要とあらば軽い力仕事ができること(達成)
- 必要とあらば残業できること(達成)
- 電車で立ったまま通勤すること(一日達成)
現在職場復帰を果たし、症状は一進一退の状態だったが
風邪と疲労から大きく体調を崩しブラッドパッチを受ける。
1ヶ月休み、徐々に職場に復帰。
ほぼ完全に復帰するが体調の波がある。
日時 | 経過月 | 履歴 | 体調 |
2004/02 | 0 |
交通事故。頚椎捻挫、顔を縫う。
職場に1日で復帰。
傷はあるが仕事は普通にできた。
顔の傷が塞がる。仕事も外出も問題なし
| 90% |
2004/03 | 1 |
仕事も普通に。外出も問題なし |
90% |
2004/04 | 2 |
風邪のような症状が治らない。頭痛が続く。鈍痛。 |
60-80% |
2004/05 | 3 |
2004/06 | 4 |
倒れる。数時間動けず。
数日会社を休む。
めまい、吐き気、電車に乗れない。
|
0-50% |
2004/07 | 5 |
調子が戻ってきたが、酒を飲んだときに調子をひどく崩す。
めまい、吐き気、電車に乗れない。
ドクターショッピング。
低髄の診断。
|
10-50% |
2004/08 | 6 |
会社を休む。
|
10-50% |
2004/09 | 7 |
会社に戻る。
天候(気圧配置)による体調のアップダウンが激しい。
|
40-60% |
2004/10 | 8 |
2004/11 | 9 |
2004/12 | 10 |
2005/01 | 10 |
2005/02 | 12 |
天候(気圧配置)による体調のアップダウンが少なくなってくる。
冬型の高気圧のおかげか。
筋肉を戻すためのトレーニングを始める。
風邪を引いたときや、疲れがたまると低髄の症状が出てくる。
|
50-85% |
2005/03 | 13 |
2005/04 | 14 |
2005/05 | 15 |
2005/06 | 16 |
2005/07 | 17 |
2005/08 | 18 |
2005/09 | 19 |
2005/10 | 20 |
2005/11 | 21 |
2005/12 | 22 |
風邪がしばらく抜けなかった。
仕事も忙しくなり無理をしてしまいダウンしてしまった。
2週間ほど歩けないくらいにめまい・悪心がひどくなる。
|
20-50% |
2006/01 | 23 |
ブラッドパッチを受ける。
天候の変化に大きな体調の変化を受ける。
ブラッドパッチのせいか、背中が痛いがめまいはなくなってきた。
|
30-60% |
2006/02 | 24 |
天候の変化にほどほどの体調の変化を受ける。
運動などはしない。
職場に徐々に復帰。
|
30-70% |
2006/03 | 25 |
2006/04 | 26 |
天候の変化にほどほどの体調の変化を受ける。
フルタイムで仕事に戻れる。
軽い筋トレ開始。プロテイン摂取再開。
肩甲骨の痛みと頭が重くなるときがある。
できる範囲で楽しみを見つけ出す。
|
2006/05 | 27 |
2006/06 | 28 |
2006/07 | 29 |
2006/08 | 30 |
ボーとしがちになり、風邪気味の日が続く。
仕事は休みが多かった。
肩甲骨の痛みと首、頭が重くなるときがある。
これは良くないパターンであることはわかっているので充分休息をとる。
無理はしない。
|
30-60% |
2006/09 | 31 |
2006/10 | 32 |
復調し仕事も休みなくできる。
しかし疲れが出るときもあるので充分休みをとる。
|
30-60% |
2006/11 | 33 |
2006/12 | 34 |
2007/01 | 35 |
友人の協力を得て念願の引越し。
しかし疲れが出たのか風邪のせいか、休みを3日取得。
注意が必要だが、復調してからはふたたび仕事を無事継続。
筋トレと休息とできる遊びでリラックスする。
|
ここには低髄にかかわる言葉を記載する。
- RI シンチグラフィ
- 脊椎にラジオアイソトープを注入し、24時間程度の
ラジオアイソトープの動きを観察する検査方法。
ラジオアイソトープは放射性物質。
- Cerebrospinal Fluid Hypovolemia
- 脳脊髄液減少症の英訳
- Spontaneous spinal cerebrospinal fluid (CSF) leaks
- 脳脊髄液漏れ
- Low intracranial pressure syndrome
- 低髄の英訳
- Intracranial hypotension
- ムチ打ち
- Chronic Fatigue Syndrome
- 慢性疲労症候群
- Epidural Blood Patch
- EBP と略される。日本語はブラッドパッチ。
-
-
理解し支えてくれる家族・友人・同僚、
治療を発見・実践している医師、
実験的な治療を受け、情報を提供してくれた先人、
病気の存在を広めてくれた報道人、
メールでこのページのご感想・ご指摘いただけた方々、
皆さんに感謝の意を述べます。
更なる低髄治療の研究、社会的補助、理解が深まることを願います。
参考文献
-
「低髄液圧症候群」の決定的治療法
篠永 正道 氏(著)
参考ウェブページ
- 低髄手記(私の闘病記)
- 低髄メーリングリスト
- http://catalog.nucleusinc.com/categories.php?CatID=000&TL=1&A=2&I=2
脳神経関係のCG ムービー集
-
http://atami.iuhw.ac.jp/shinryou/nogeka/gensyo1.html
篠永医師のいる熱海病院の低髄サマリ・レポート
-
http://www.joyoliving.co.jp/topics/200602/tpc0602024.htm
「脳脊髄液減少症」の理解と治療法求め
脳脊髄液減少症茨城患者会代表 鈴木敏文さん
-
e medicine : Cerebrospinal Fluid, Leak
髄液減少に関するトピック。CT, MRI 画像など。
-
心身症
-
山王病院 美馬医師の診療ガイド
- はてな? 脳脊髄液減少症
- 「低髄液圧症候群」 ~知られざる頭痛の原因~
- 低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)ファイル
- Ken's Field 低髄液圧症候群<慢性疲労症候群
- 交通事故110番
- Spontaneous intracranial hypotension 英語 46歳 女性の症例 EURORAD
- Intracranial Hypotension英語 ムチ打ちの紹介 症例画像あり。 University of Cincinnati
- Chronic fatigue syndrome英語 慢性疲労症候群のレポート。詳細。
- Epidural Blood Patch: It Really Works!英語 EBP のレポート
- Weak evidence supports treatment of post-dural puncture headache with an epidural blood patch英語 EBP の有効性を示すデータ
- Epidural Blood Patching
Stephen Gatt英語 論文アブスト
-
-
低髄ML
-
KEN'S FIELD 低髄掲示板
-
低髄掲示板2
-
まつもと泉さんウェブページ
PDF でのサマリ。
Webpage 版から加筆修正した箇所があります。
ブラッドパッチ前の資料です。
- 2007/02/00 更新。
- 2006/09/19 修正。
- 2006/09/04 ブラッドパッチ半年後の状態更新。修正。
- 2006/04/16 ブラッドパッチ3 ヶ月後の状態更新。修正。
- 2006/03/04 ブラッドパッチ1 ヶ月半後の状態更新。修正。
- 2006/02/18 ブラッドパッチ1 ヶ月後の状態更新。
- 2006/02/18 更新履歴記載開始。
- 2006/01/21 ブラッドパッチ体験記追記。
- 2004/10/?? 作成。
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